こんにちは、大阪京橋の司法書士小林一行です。
株式会社を設立すると、個人で事業を行う場合とくらべて様々なメリットがあります。以下ではそのメリットの代表的なものを掲げてみたいと思います。
メリット1 倒産したときの責任が軽い
会社形態を取らず個人で事業をされている場合には、事業を行うにあたり生じた借金はお店がつぶれても借金がなくなるまでは無限に支払義務が生じます。「無限に」です。これは負債が大きければ、かなり厳しいです。事業を辞めて新たに会社に勤めても、給料を差し押さえられる可能性もあります。もっとも自分自身の破産手続きをすれば、この点の支払い義務は回避されますが…。
これにひきかえ、会社を作るということは事業主とは別の擬似的な人間を法的に作り上げるということですので、全ての権利、義務関係は会社に帰属し、倒産した場合には借金は全部その法的に作られた人(法人)である会社が責任を負って消滅します。
但し、この点も実際の取引においては代表取締役にも会社の債務を保証することが求められますので、会社が倒産する際は債権者から保証債務を請求される場合が多いとはいえます。ですのでこのメリットはあまりメリットとは言えないかもしれませんね。
メリット2 対外的信用が増す
「信用」というものは、事業を行ううえでなにものにも代えがたい財産ではないでしょうか。「あのお店の商品なら信用して買うことができる」「あのお店なら経営が安定しているから信用して融資ができる」といった具合に…。
そしてこの「信用」は、個人経営から会社形態を取ることによって飛躍的に高まります。個人事業では外からみて経済状態が把握しにくいからです。
それに対して会社の場合は、会社の重要な情報がのっている登記簿謄本を誰でも法務局で取得することができるので、取引の相手先は安心して取引をする事ができます。相手に安心してもらえるということは、自分自身にとってもビジネスチャンスが広がるということですので、メリットといえるでしょう。
メリット3 税金面で優遇される
収入が少ないうちは得とは言えませんが、年商が1,000万円を超えるようになってくると、会社形態のほうが税金は安くなります。 理由は個人形態の場合、ご存知の通り所得が増えれば増えるほど、税率が高くなるという累進課税制度を採用しているのに対して、会社の場合は所得が増えても一定の税率が課されるからです。
メリット4 決算期を自由に選べる
個人事業では1月から12月までが1事業年度と決められていて、自分で決算期を変えることはできません。ですので、12月が繁忙期である業種の個人事業主の方は、12月は本来のお仕事と決算の事務作業が重なってしまい、大変忙しい思いをすることになります。この点、会社形態の場合は、1事業年度を例えば4月から翌年3月まで等、お仕事の繁忙期と重ならないように決算期を自由に選択することができます。
メリット5 相続税がかからない
前述のごとく会社を作るということは新しい「人」を生み出すことと同じですので、会社を設立したあとに代表取締役が死亡しても、個人経営と異なり会社財産の相続という問題は生じません。そのため、相続税を納める必要もありません。
メリット6 経費の認められる範囲が広い
簡単にいうと、収入-支出である「所得」に対して税金が課されることとなります。ですので、経費として認められる範囲が広ければ広いほど所得を減らせるので、納める税金も少なくてすみます。この点、個人より会社の方が一般的に、ある支出が経費として認められる範囲が広いといわれています。
例えば業務を行っていくうえで、車は必要な場合が多いですが、個人の場合は全額を経費として認められません。しかし法人の場合は全額経費として認められます。